平和な朝
窓からの光がとても眩しい
そんな朝が来るのも、なのはのおかげなのかもしれない。
夜中の出来事が夢のようだ。

つい4時間程前、なのはは戦っていた。
早朝というにはまだ早い深夜3時ごろ。
誰もいない夜道。
その中で小学生3年生の女の子が事件に立ち向かっていた。

誰かに鑑賞されたくて戦っているのではなく、ただ僕のためだけに戦っている。
「なのは! 危ない!」
うしろから、なのはを襲ってきた。
だけど、ノーダメージで受け止めている。
「今度はこっちの出番だよ!」
杖を持ち叫んだ。
「レイジングハート、お願い!」
「強い・・・」
僕はその様子に何も言うことができない。
ただ、ずごいっと言うだけで・・・。

白い防護服が似合う女の子。
この世界にこんな強い魔力を持っている女の子がいることにいつも驚きを隠せない毎日。
どうして僕よりも強いのかが検討もつかない。
「疲れたよ〜」
「なのは・・・」
なのはは疲れ果てていた。
これだけの魔力を使ったから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
「なのはダメだよそんなところで倒れてしまったら!!」
「家までもうすぐだから」
今日はかなり疲れ果てているみたいだった。
家に帰ってたらなのははベットにそのまま倒れてすぐに寝てしまった。
なのはを見ながらずっと考え込んでしまった。
なのはがいったいどうしてそんなに強いかを・・・。


なのはの強さ



寝れなかったな・・・
一晩中考え込んでしまった。
結局何も分からない。
ずごい才能がある。
僕なんかよりもずっとずっとある。
なのははいったいどれだけ才能を持っているんだ。
いつも力になれない僕
なのはを見ていると辛くなる。

なのはの携帯から目覚ましの音楽が流れた。
ピンク色の携帯がベットから落ちて、布団から小さくて白く可愛らしい手が出てきた。
僕はベットの方へ向かった。
布団から出て来るなのはの姿。
眠そうな顔をしている姿。
携帯の目覚ましを止めている姿。
そんな様子を見ながら僕はなのはの顔を見た。

「おはよう、なのは」
すると、なのはが
「おはよう、ユーノくん」
さっきまで眠そうな顔をしていたのがまるで夢かのように元気に挨拶をしてきた。
僕と違っていつだって元気だ。
「う〜ん、しょっと」
「なのは・・・」
僕はなのはの方へ振り向いた。
にょおおお
「え!? 何? ユーノくん?」
見るとなのはは着替えていた。
「い、いや・・・、あの・・・。何でもない・・・」
見てはいけない見てはいけない。
あ・・・、もうダメだ・・・。
「え〜、何隠し事をしているのよ〜」
「いや、本当に何もないから!!」
ダメだ、見てはいけない見てはいけない。
「あ〜、分かった〜。早く食べたいんだ」
「え!? いや、そういう意味じゃなくて・・・」
僕はなのはの言葉によって意識がだんだんとおかしくなってしまった。
こんな風に思われるなんて・・・
あ〜、どうしたらいいんだ・・・。
違うんだなのは!!
僕はあまりのとっさのため身動きがあまりできなくなっていた。
僕は・・・
僕の動きがおかしくなっている。
「え!? 朝御飯いらないの?」
一瞬止まった。
「へ!?」
朝御飯って!?
いったい何!?
「お母さん、ユーノくん朝ご飯いらないんだって〜」
「あら〜、お腹が痛いのかしらね」
「ちょっと心配。大丈夫かな?」
「病院にでも連れて行ったほうがいいかも・・・」
そういう意味だったのね。
ぐぅ〜
お腹すいた・・・
バタッ
・・・・・・。

「ユーノくん」
あ・・・、ダメ・・・。
「行ってくるね」
さすがにもう着替えてたか・・・・
見るとなのはは、制服を着ていた。
「なのは、学校に行く時はゆっくりしないとダメだよ」
「うん、いってきまーす」
僕はなのはが学校に行っている間、なのはのことを考えていた。
もう僕はいらないかもしれない。
なのはだけでもできる。
もうこんなに強くなったんだから僕はただの邪魔者。
それと比べて僕はただなのはの手伝いをしているだけ。
別世界の女の子に負けるなんて・・・
でも、だからと言ってこのままではいけない。
なのはには関係のないことだから。
だからなのはには普通の小学生に戻ってほしい。
親友のアリサとすずか。
仲のいい家族
そんな温かい人にかこまれるような生活に戻ってほしい。

なのははバスに乗り学校に行った。
僕と違って毎日忙しい。
昼は学校、夜は魔法使い。
窓の景色を眺める。
青い空、白い雲。
最初に会った時からとても強かった。
でも、だからといってあの子に頼るのは行けない。
もう、いいからとなのはに伝えないと・・・。

(なのは聞こえる)
(うん、聞こえるよ)
(この先は僕がやるから、もうなのはを巻き込みたくない・・・。)
(それはダ〜メ)
(え!? ダメって・・・)
(一人にはさせたくないから)
(なのは・・・)
とても温かい声。
僕は何も言い返せなくなった。
(今、この先は僕がやるからって言おうとしたでしょ)
僕は何も言い返せない。
(一人ではダメだよ。友達だから)
僕は何も分からない。
なのはの強い訳が分からない。
時間だってそんなに経っていないのに力がある。
僕には真似できないくらいたくさんの力がある。
もしかして、これがなのはの強さなのかな。
いつだって、人の思いを受け止められる。

「きゃあああああああ」

すずかとアリサの叫び声が聞こえた。
(なのは!!)
(うん、今聞こえた)
僕は、走った。
事件が起きている場所へ走った。
こんな昼間から、いったい何が!!
危険すぎる!!
ここか!?
場所はなのはが通う私立清祥大付属小学校の中庭だった。

なのははもう着いていた。
「すずかちゃん! アリサちゃん!」
二人が逃げ遅れてしまっていた。
今にも風の勢いで吹き飛ばされそうになっている。
「な、何なのよこれ!!」
「い、痛い・・・」
必死に木につかまっている二人。
風で飛ばされていく椅子や机。
二人が危ない。
「きゃああああああ」
他の生徒は逃げまとっている。
「なのは!!」
僕は叫んだ。
「親友の二人を虐めるなんて、絶対にダメ!」

やっぱり、そうか・・・
そうだったんだ。

今、ようやく分かった。
親友である二人
大事な友達を大切にしたいからこんなにも戦えるんだね
なのは、魔力が強いのは優しいからだったんだね。
僕はなのはと初めて出会った時から強い魔力の持ち主だと知っていた。
「レイジングハート、お願い!」
<<All right>>
大切な親友。
守りたいから戦えるんだ。
その答えがずごい魔力として出ている。

「違うよ、ユーノくん」
「え!?」
「そんな理由だけじゃないよ」
「じゃあ、いったい・・・」
「私の家族や友達、学校の先生。みんな大切だから」
「なのは・・・」
親友のアリサやすずか以外にもお母さんやお父さん、いつも優しいお兄ちゃんやお姉ちゃん。
なのはにはたくさんの大事な人がいる。
たくさん愛して愛されて、言葉にできないぐらいの温かさを持てて。
「だから戦えるんだよ。背中がいつも温かいから」
そうだったんだ・・・

白い防護服に身を包み、紅と白金のデバイスを手にしたなのは。
とても僕と別の世界で育った女の子とは思えない。
だけど、もしかすると別世界で育った女の子だからできるのかもしれない。
優しい人に包まれながら生きているから、できたのかもしれない。

なのはは本当に強い女の子だ。
僕にはとても真似できないぐらい人に対して思いやりがある。
例え相手が憎しみを持たないといけない人でも、憎しみをもたれている人でも、一番大切にしな いといけないことができている。
だから、できるんだね。
こんなにも強いんだね。
「友達になりたいんだ・・・」
僕は今やっとなのはが持っている本当の強さを知った。




久しぶりにSSを書きました〜
たかがでさえレベルが低いのに、しばらく書いていないせいで力が落ちているかも・・・。
そんなことよりもしばらく更新を休めてしまい申し訳御座いませんでした。
ちょっと、私自身がうつみたいになっていたので・・・
ペースは遅いかもしれませんがまた活動しますのでこれからもよろしくです。