よく眠る名雪
雪が降っている。
冬だから当たり前なのかもしれない。
外は、寒いのに中は温かい。
それは、どうしてだろうか?
ストーブがあるから?
確かにそうかもしれない。
でも、ホントの理由はストーブがあるからじゃないよ。
ホントのホントの理由はね・・・。
ただ、家の中に温かいものがあったから。
そのとても温かい様子が、耳からも見えてくる。
耳からも見えてくる。
ほら、見えてくるよ。
その家庭は、夕食を楽しんでいた。
温かい家庭は、夕食を楽しんでいた。
今日も、いつものように、楽しんでいた。
3つの声が聞こえてくる。
その中から、名雪という少女の声が聞こえてきた。
その女の子が文化祭の話をしてきた。
「明日は文化祭だね」
「そうだな」
名雪は文化祭が楽しみなようだ。
名雪は、陸上部の部長として、文化祭に出す店をはりきっている。
「秋子さん、文化祭来てくれますか?」
「ええ、もちろん。楽しみにしてますから」
「お母さん、あたしの店のイチゴサンデー食べてくれる?」
秋子さんは笑顔で答えてくれた。
もちろんっと言ってくれた。
相変わらず、秋子さんのおかげで温かい家族となっていた。
とても、胸が痛くなる。
夜中の8時
廊下で名雪にあった。
もう、パジャマに着替えていた。
それに、名雪にとってかなりお寝むな時間帯であった。
そのことは、目が前に反応することができればすぐに分かる。
名雪はケロピーを抱きながら眠そうにしていた。
「もう、寝るのか?」
ゆったりとした口調で名雪は返した。
「うん・・・」
「たまには、夜遅くまで起きたらどうだ」
「眠い・・・」
っと言った瞬間に名雪は立ったまま寝ていた。
どうしてこんなに寝れるんだ。
とても、疑問に思う。
いや、疑問というよりも・・・。
ズゴイ
はっきり言ってずごすぎる。
こんなことおれには絶対に真似できない。
というよりも、できる必要がない。
その上、授業中にも寝るのだから。
ー翌日
外は、とても晴れていた。
とてもすがすがしい天気
太陽がとても眩しく感じる。
だが・・・
寒い
はっきり言って寒い。
晴れているとはいえ、雪が降っているから仕方がないのだが・・・
とても耐えられない。
でも、布団の中はとても温かい。
「もう少し寝よう」
祐一は二度寝をすることにした。
「この二度寝の気持ちよさがいい・・・」
クッカーーー
「朝だよ〜」
目覚ましがなった。
普通の人間だったら絶対に起きれそうにもない目覚まし時計。
「これで、起きれるか・・・。もし起きれたら、目覚ましなんてする必要はない」
でも、ちゃっかり起きている祐一だった。
それは、どうしてだろうか。
だって、名雪の声が入った目覚ましだから
どうしても、こう名雪の声の入ったから起きれないと言わないと前に出られない。
とは言うもの・・・・
やっぱり、眠い・・・
おれは大きくあくびをした。
台所には秋子さんがいた。
秋子さんは、こんな休みの日も朝から家事をしている。
「秋子さん、名雪は?」
「あら、まだ寝てますけれど」
お皿を拭きながら、コップを目の前に置いてきた。
「飲み物は何にします?」
「何があるんですか?」
「紅茶、コーヒー、りんごジュースにミルク。どれにします?」
「コーヒーにします」
「ホットにしますね」
「はい、ありがとうございます」
秋子さんはコーヒーを入れて、おれの目の前に置いてくれた。
コーヒーを飲むことにした。
コーヒーは眠気覚ましにもちょうどいい。
とても静かな朝だ。
寒い日にコーヒーはとてもおいしく感じる。
白くていい香りが目にも見えてくる。
でも、何か大事なことを忘れているような気がする・・・。
「って、今日は文化祭だから休みでも学校あるんだった!!」
すっかり忘れてしまった。
「秋子さん、すみません、もう、学校なので」
名雪を起こしたら遅れてしまう。
祐一は大急ぎで学校に行った。
「ゴメン、遅れた」
祐一の息が荒い。
無事に教室に入れた。
そんな、毎日の繰り返し。
急に出たからかもしれないが、今日はやけに鞄が重く感じる。
香織が走ってきた。
「祐一、名雪は?」
速答に聞いてきた。
あ〜、なんでこんな日に遅刻するんだ〜
「祐一、おはよ〜」
「わぁーーーー!!!」
どうやら、名雪は、昨日から祐一の鞄の中で寝ていたようだった。
「祐一、ご苦労様」
「きっと、ここに入っていたら寝坊しても遅刻はしないと思っていたから」
「大丈夫だよ、大丈夫だよって」
「あのな・・・」
どうりで、鞄が重く感じるわけだ。
みんな唖然としている。
名雪は、祐一の鞄が寝坊しても絶対に遅刻しないという幻の寝場所と確信してしまった。
そして、最後には笑い声が聞こえてきた。
「名雪、文化祭の用意はいいの?」
「大丈夫だよ、昨日、ちゃんと用意したから」
「安心しろ。イチゴサンデーのこと、秋子さんにまで話したぐらいなんだから」
まあ、大好きなイチゴサンデーを出すのだから忘れるわけないか・・・。
雪が降りたした。
でも、雪が降っているのに冷たく感じない。
とても、寒いはずの冬が寒く感じない。
それは、どうしてだろう。
やっぱり、部屋の中でストーブがあったから温かかったんじゃなかったね。
ほら、そんなものなくても温かいものなんて一つもないよ。
それは、どうしてだが分かる。
ホントだ。全然寒くない。
前に言ったこと、嘘じゃなかったんだね。
こんないい家庭があったなんて知らなかった。
だって、ボクが昔あった男の子がいるかていだもん。
祐一くん、待っててね、ちゃんと起きてもう一度会うから。
待っててね。ずっと、ずっと・・・
待っててね。