あゆの夢の中


あゆと二人だけの学校
祐一は遅れてしまった。
あゆ「祐一君、遅刻だよ」
あゆに怒られてしまった。
あゆが答えようとする。
が・・・
強い風があゆの体を襲った。
あゆ「祐一くぅ・・・」
時間が止まった。

全ての動作が遅く感じる。
赤い雪の上で、あゆが喋った。
祐一「今、病院に連れて行ってやるから!」
あゆ「ボク・・・木登り。得意だったのに」
そんな会話が最後だとずっと思っていた。
そんな会話があるとしてももう夢の中でしかきっとない。
そうだと、ずっと思っていた。
だけど、夢の中でさえ、あの時のような幸せは来なかった。
ずっと、夢の中も祐一くんと話していたが、ホントの祐一くんでない。
だって、ホントの祐一くんはボクが思っている以上に強くて・・・。
ボクの夢の中ではホントの祐一くんを出せない。
どうしても、どうしても、どうしても出せない。
その努力を何年も続けていた。
だけど、結局は無理だった。

あれから、7年が経った。
どうしても、まだ幸せそうな祐一くんでない。
どうしても、祐一くんを不幸にさせてしまう。
ボクじゃダメなんだ・・・
ボクは思った。
どうしてこんな単純なことに気付かなかったんだろう。
ボクじゃなければ、誰でもできる。

あゆが最初に思いついたのは狐だった。
あゆがまだ起きているころ、祐一が怪我をした狐を助けていた。
最初は、名前が思いつかなかったので記憶喪失という設定にした。 あゆは思い出した。
よく、狐に向かってあこがれていた先輩の話していたこと。
あこがれていた先輩の名前、沢渡真琴をその名前にした。
だけど、狐は狐
人ではないからやっぱりあゆの夢の中でさえ幸せにできなかった。
人じゃ、ダメなんだ。
身近な人である名雪を次に選んだ。
だけど、結局は秋子さんを交通事故にさせてしまった。
次は舞。
だけど、それもダメだった。
じゃあ、ボクが知らない人なら大丈夫
栞という名前をつけた少女と夢の中で会わせた。
でも、あゆの力ではダメだった。

あゆ「夢の中でないホントの祐一くんだったら、4人とも幸せにしてくれているだろうな]
あゆは呟いた。
もう一度、頑張って夢の中で祐一くんを幸せにしたい。
もう一度、夢の中でいいから祐一くんと遊びたい。
小さな子供のころの心のままで祐一くんに会おうとした。
その頃からだった。
祐一くんと話しているとき何故か昔のことが思い出すようになった。
もう、ボクも分かっている。
もう、無理なんだね。
夢の中でさえ思い出してしまうんだもんね。
だけど、考えないようにしなくちゃ。
木から落ちたことも忘れなきゃ。

夢の中の祐一くんはボクと違って忘れていた。
やっぱり、偉い。
だけど、少しずつ思い出してきている。
だから、せめて、最後にこういった。
夢の中の祐一くんだけでもいいから幸せになってほしいから
あゆ「・・・ボクのことわすれてください・・・」
祐一くんは大きな声で言ってきた。
祐一「ホントにこれでいいのか」
やっぱり、夢の中でも祐一くんは強い。
ボクはホントの思いを言った。
あゆ「ホントはもっと、ずっと、一緒にいたい」
祐一くんは聞いてくれた。
だって、今、7年間眠りが覚めたもん。

そして、また楽しい日が続いた。
ベンチの前で、待っていた。
ボクのKanon(約束の地)で待っていた。
奇跡をKanon(繰り返)しながら