手の上に光が落ちた。
それは、いったい、何なんだろう?
光っていてまったく分からない。
その光が長い棒に変わっていく。
視界がおかしいのだろうか。
その棒が何か分からない。
「風子、とても危険なことになっているかもしれません」
風子は辺りを見回した。
「わぁああああ」
男の人の声が聞こえた。
「誰かの悲鳴が聞こえました。助けなくては」
春原の声が聞こえた。
「でも、春原さんなのでほっときましょう」
オイ


魔法少女風子スター
 〜風子、魔法使いになりました〜



ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ
布団の中から白くて小さな手が出てきた。
その小さな手は、目覚ましを切った。
小さな顔が布団から出てきた。
朝の光が眩しかった。
静まった風景
ゆったりとした、部屋。
いつもと、同じ風景なのにそう感じてしまう。
「何か・・・、変な夢見ちゃいました」
どうしても、変な夢をみると朝から調子がくるってしまう。
風子は布団から出て、ベットの上に座り制服にゆっくりと着替えた。
「そもそも、どうして風子の夢の中に春原さんが出てくるのですか」
プンプンと怒り出した。
「まったく、意味が分かりません」
まあ、そう思うのも仕方ない。
なんたって、あの春原が夢の中に出てきてしまったんだから。
ベットの上で、上着を手に持ちながらため息をつく。
「朝から、不気分です」
「もし、ここで朋也さんが来てくれれば・・・」

ー風子の妄想イメージー
「戸が開いた」
風子の妄想イメージ:静まった部屋にいきなり入ってきた。
「岡崎さん・・・」
風子の妄想イメージ:二人はお互い温かい目で見つめ合う。
「着替え中だったか・・・。それは、悪いことしたな」
風子の妄想イメージ:朋也さんは恥ずかしそうに、戸をあわてて閉めた。
「いえ、全然構わないです。だって、岡崎さんだから」
風子の妄想イメージ:朋也さんがゆっくりと恥ずかしそうに風子の顔を見た。
「そうか、じゃあ、入るぞ」
風子の妄想イメージ:お互いの体中があつくなった。
「そして、二人は、温かい唇をかさねあい・・・」
「きゃああああああああああ」
妄想がたいられなくなってしまい思わず叫んでしまった。
「こんなところ、誰かに見られたらとても恥ずかしいです」
後に気配を感じだ。
「・・・・・」
「・・・・・」
お姉ちゃんだった。
かなり固まっていた。
まるで、ただの石のように・・・
「・・・・・」
「・・・・・」
「風ちゃん・・・、朝御飯できた・・・」
「はい・・・。今・・・・、行きます・・・」
バタッ
「・・・・・」
小さなはずの小鳥の声がとてもにぎやかに感じた。

「風子、今日は朝からドッキリです」
風子は歩いていった。
しょんぼりしながら歩いていった。
いったい、どうして風子は朝からこんな思いをしなくてはいけないのだろうと。
一コマごとに、ため息が出てしまう。
「ここで、もし春原さんにあったら・・・」
今、春原さんにあったら、更に最悪な朝になってしまう。
こんな時間にはいるはずないが、やっぱり、今日はやけに警戒してしまう。
「ダメです。そんなこと思っていたら会うはずのない嫌な人なのに朝から会ってしまいます」
岡崎さんが誰かと話している・・・
「春原、今日は何するんだ?」
ビューーーーーーーーーーーーーン

「今日の風子は朝から最悪です」
あまりの衝撃なことで、学校の裏庭まで走ってしまった。
木の陰が、横からみると、とても暗く感じてしまう。
だけど、風子はそんなことも気付く余裕でさえなかった。
「あれ?」
ヒトデの人形が落ちていた。
ヒトデはとても小さいのに、まるで風子に会いに来たような心が伝わった。
何も話すこともないのに・・・。
表情をも見せていないのに・・・。
それは、どうしてだろう。
風子には分からなかった。
もしかすると、分からなかったのではなくわかる必要もなかったのかもしれない。
風子のことを考えるとそれがどうしてもこうとしか思えなくなってしまう。
「とても、可愛いです」
その人形は、小さな風子の手にも入ってしまった。
「可愛いです。風子の大切な宝物にします」
風子は、目を丸くして輝かせた。
両手でしっかり握り締めた。
こんなに、小さな人形なのに、風子が取るととても大きく見えてしまう。
ヒトデを見てしまったためか、朝の疲れが一瞬なくなってしまった。

「わあああああああああああ」
叫び声が聞こえた。
何か、また、嫌な予感がしてしまった。
理由は言うまでもない。
叫んだ声が春原さんだったからだ。
パッ
光の線が走った。
「ま、眩しいです」
白い光が周りを襲うように強い力を目に送っていた。
白い風が、風子の体を覆った。
光が一瞬にして止まった。
「風子さん、僕のお願いを聞いてください」
「ヒ、ヒトデさんが喋りました」
あまりのことに、目を丸くしてしまった。
「お願い、そ、その杖を取って」
「つ、杖って何ですか」
きょろきょろと辺りを見まわす。
よく見ると風子の横には杖が落ちていた。
「早く、その杖を取って!!」
「は、はい」
白色の杖は長いのにとても軽かった。
風子は☆を上にして持った。
風子が小さいのか、どうしても杖が必要以上に長く感じてしまう。
オレンジ色の☆はピンクの輪の中を回りながら、振動を立てていた。
「呪文を唱えて!!」
「じゅ、呪文ってなんですか!?」
「今から言うことをそのまま言って!!」
「は、はい・・・」
「光の杖を!! 我の道を開け!! スターフィッシュ オブ ザ ウィッチクラフト」
「え、え〜っと、光の腕を!! その道を空けて スターフィニッシュ オブ ウォッシュ グラス」
全然違う・・・
あまりにも違いすぎて、固まってしまっていた。
「もう一回言う」
「光の杖を!! 我の道を開け!! スターフィッシュ オブ ザ ウィッチクラフト」
「光の杖を!! 我の道を開け!! スターフィッシュ オブ ザ ウィッチクラフト!!!」
☆の回転が強まった。
杖が動きたい方向に☆の振動が動いた。
杖の光が風子の体を囲み、制服を消した。
お尻の方がが光って、スカートが出てきた。
次に、胸元が光って青いリボンが出てきた。
ゆっくりと白いコスチュームが出てくる。
コスチュームの衣装が付け加えるたびにピカーンと光の音がする。
光が消えた。
コスチュームが完成した。
「な、何ですかこれは」
目を丸くしながら驚いた。
「さあ、早く!! 向こうに魔物がいるから」
「は、はい」
「な、何か、風子、とっても危険なことになっているかもしれません」
「でも、とりあえず、行きます」

バタン ドタドタドタ バタバタバタン
何かが落ちた。
いや、魔物が何かにぶつかっただけかもしれない。
「きゃああああああああああ」
あちらこちらから、悲鳴が聞こえてきた。
あまりの怖さに、風子が怖がっていた。
「風子さん、危ない!!!」
光の剣が風子に向かって走っていった。
「わ、あ、ああ、あ、あ」
風子はどうにか避けることができた。
「い、いったい、ど、どうしたらいいのですか」
「呪文を今から教えるからとなえて!!」
「は、はい」
風子は目をつぶりながら、魔物に杖を向けた。
「光のスターフィッシュよ。我の前に進め。パワー オブ ザ ライトと叫んで」
風子は怖がりながらも大きな声で叫んだ。
「い、いきます」
「光のスターフィッシュよ。我の前に進め。パワー オブ ザ ライト」
杖の☆が勢いよく回転した。
その力が、小さな風子の手にも伝わっている。
力の弱いはずの風子だが、まるで風子の手でないように、ずっと杖を握り締めていた。
この力は普通でなかった。
そのことは、風子の顔を見れば分かってしまうほどであった。
☆が回転すると同時に魔物の方に光の棒が、まるで、弓で引いた矢のように飛んでいった。
もしかすると、風子はもう限界を来ているかもしれない。
と、その時だった。
光が☆に変わった。
次々と☆が魔物に向かっていく。
その光景は魔法を使っている風子でさえとても眩しかった。
「う、うぉーーーーー」
魔物が低い声でうなった。
魔物の体が光に包まれていく。
もうその光はとても眩しすぎて誰も見ることができない。
☆の光とともに魔物は消えていった。
魔物が消えると同時に風子は倒れてしまった。

「ふぅ〜、風子ビックリです」
風子は力を使い切ってしまった。
もう、立つこともできない。
見たところ、そんな感じであった。
でも、大きなトラブルがおさまったせいか、ニッコリとすぐに笑顔を見せた。
まるで、何もなかったかのように・・・。
だけど、まるでいつもイタズラ好きのミラーのようにそれと正反対なことをしていた。
とても、とても、小さな人での人形が・・・。
とても、とても、悲しそうに・・・。
「すみません、何も関係のないのに風子さんを巻き込んでしまって・・・」
小さなヒトデは風子に、ゆったりとした口調で話しかけてきた。
その口調のせいか、だんだん聞いていると辛くなってしまう。
「僕は、どうして・・・、いつもこうなんだろう・・・」
小さなヒトデの目は、何もないはずの地面の方に向けた。
「関係のない、それは、どうしてですか?」
風子は優しそうな声で話しかけた。
「風子にとってもう、関係のあるんですから」
「え・・・、どうして・・・」
ゆっくりと、風子の方へ、目を上げた。
「ヒトデである限り、とても大切なものですから」
風子は笑いながら、小さな手で、ヒトデを上に持ち上げた。
「そりゃあ、春原さんを助けた事に関しては後悔していますけれど」
オイ
「風子にとって、ヒトデは人を幸せにするものです」
「その証拠に、ヒトデさんは風子を魔法使いにしてくれました」
風子のことをじっと見て聞いている。
「女の子ならね、誰でも一度は魔法使いになりたいっと思いますから」
「そんなことを叶えてくれたのに関係のないって言われたら風子とてもショックです」
「ここで、また、関係のないって言われたらかえって迷惑です」
「ふ、風子さん・・・。あ・・・、ありがとう」
二人は、お互い笑いながら、幸せそうにしていた。
さっきまで、暗かったはずの木の陰が明るく感じる。
同じ天気なはずなのに・・・。
急に曇ってもいないのに・・・。
とっても、とっても、その陰が明るく感じてしまいました。

そして、そのころ春原は・・・。
「ハックション、誰かが僕のことを呼んでいる」
誰も呼んでいない呼んでいない。
噂はしているが・・・
おっと、失礼、誰もけして噂なんてしていませんでした。
なぜなら、このぐらいの噂なら春原からみれば日常茶飯事に起きている事。
春原にとっての噂はこんなもんじゃない。
これを噂って言ったらとても失礼です。